子どもが大学生になり、子育ても終了をむかえつつある。
この状況でよく聞く話が、「夫婦2人になったら話すことなんて無いわ!一緒に出かけるなんてあり得ない!」というもの。
実際、夫が友人に、私と一緒によく旅行をしているという話をしたところ、
「奥さんと2人で出かけるの?!俺はまだ、その境地には至らないわ...。」と言われたらしい。
だが何だかんだで、子どもが巣立ったあとは夫婦しかいないので、仲良くできるに越したことは無いと思うのだが。
子育てがほぼ終了した、夫婦2人の旅
私達夫婦はよく、近場の一泊旅行をする。
今回は、奈良県吉野郡十津川村にある谷瀬のつり橋から、熊野古道のある和歌山県田辺市の熊野本宮、タマ駅長で有名になった和歌山電鐵の貴志駅に行ってきた。
谷瀬のつり橋
奈良県吉野郡十津川村に、谷瀬のつり橋と言う日本有数の長さを誇るつり橋がある。
長さ297.7メートル、高さ54メートルだから、18階建ての建物ぐらいの高さだろうか。
眼下には十津川が流れ、キャンプをしているテントもポツポツと見え、とても良い眺めだ。
と余裕の笑みで言いたいところだが、実際に橋を渡ってみると、想像していたよりはるかに恐怖だった。
下を見る余裕はまったくない!
床は3センチ厚ほどの板を横に4枚並べたものが、延々続いているのだが、ひたすらその板だけを見ながら歩いていた。
その1つ1つが不安定で、橋が揺れるたびに不規則な動きをするのだ。
自己紹介でも少し書いたが、高校時代は機械体操部の部長をしていた。
平均台には慣れていたはずだが、それも30年以上も前の話。
しかも、平均台は風でゆらゆら揺れたりしないし、幅は10センチと狭かったが、高さはほんの1.25メートルだ。
ゆらゆら揺れる橋を渡る途中でアナウンスが流れる。「橋の上で飛んだり跳ねたりして、橋を揺らさないでください。」
飛んだやつ出てこい!あとで回し蹴りの刑、確定だ!
ようやく向こう岸まで渡り終えてホッと一息。思えば遠くへきたもんだ...。なんて悠長なことを言ってる場合ではない。
車を駐車場へ置いてきたので、また向こう側へ戻らないことには帰れない。
夫に「ねえねえ、私こっちで待っておくから、一人で向こうへ戻って車で迎えに来てくれるとかいうプランは無いのかしら?」
もちろん、即却下。しょうがない、これ飲んでがんばるか。
みかんの味はほとんどしなくて、うめジュースみたいだったけど、美味しかった。
よく見たら八咫烏(ヤタガラス)だったんだな。飲んでる最中はまったく気づかなかったけども。
さて、気分を盛り上げて、帰りも渡るしかない。
不思議なんだが、こんなに怖い橋なのに、平然と渡る人が多いことに驚く。
みんな、ポーカーフェイスを装ってるんじゃないの?!
そんな疑心暗鬼の私の前に、向こう側からものすごく怖がっている小学生ぐらいの男の子が、お父さんに手を引っ張られながらやってきた。
「だって、怖いねんもん!しゃあないやん!怖いやろーーー!!」半べそかきながら怒ってる。うう、可愛いじゃないか。
すれ違いざまに、「その気持ち、めっちゃ分かる!怖いよなあ?!」と頷き合いながら、同志と別れた。
夫よ、待ってくれい~!
いや、撮影してるヒマあったら、引っ張っていってほしいものだ。
そして、ようやくゴール!長かった。つり橋にしては本当に長い。
この橋、最初は生活用のつり橋として、地元の人々が大金を出し合って完成させたそうだ。今から65年も前のことである。
確かに、このつり橋が出来たことで、ここに暮らす人々の暮らしは断然豊かになったのだろうな。
とはいえ、怖いものは怖い。
しばらく車の中で放心状態だったが、あらためて、生きていることに感謝した。そして、私にも怖いものがあったんだなと気づいた。
熊野本宮大社
続いて行ったのが、熊野本宮大社。
いつも思うが、神社があるところは、霊感などまったくない素人の私でも感じるほど、パワーが溢れている。
内部では撮影禁止なので写真はないが、夫須美大神(ふすみのおおかみ)、速玉大神(はやたまのおおかみ)、家津美御子大神(けつみみこのおおかみ)、天照大神(あまてらすおおみかみ)が祀られている。
交通安全、大漁満足、家庭円満、夫婦和合、長寿の神だそうで、「大漁満足」が入っているのが、海の近くにある神社ならではかもしれない。
熊野本宮大社はかつて、3つの川の合流点にある「大斎原(おおゆのはら)」と呼ばれる中洲にあった。
だが明治22年の洪水で多くが流されてしまい、残った3棟だけを、歩いて10分ほどの現在の地に移築したらしい。
その大斎原に歩いて行ってみた。大きな鳥居のある向こう側だ。
これまた内部は撮影禁止になっていたので写真はないのだが、それはそれは素晴らしい場所だった。
一見ただの原っぱのようだが、輝きに満ちているとでも言えば良いのだろうか。
現在はパワースポットとして有名なので観光客も多い。
だがかつては、この大斎原のあった中洲へ渡る橋はなく、参拝者は歩いて川を渡り、冷たい水で身を清めてから神の領域へ立ち入ったそうだ。
参拝を終えたあとは、少し遅めの昼食。
高菜の葉をまるまる1枚巻き付けた名物のめはり寿司は、懐かしくて優しい味。
一緒にいただいた冷たいお蕎麦は、細く千切りにされた大根と一緒にいただくと、歯ごたえが出てシャリシャリ美味しかった。
ついでに、お菓子も食べちゃえ。
さて、そろそろホテルに向かおう。
今回はお気に入りのホテル、ドーミーインだ。
夕食は和歌山で。お気に入りのホテル、ドーミーインにて宿泊。
私たち夫婦には最近、お気に入りのホテルがある。それは、ドーミーインだ。
日本各地にあり、今回泊まったのは2回目なのだが、宿泊者のことが考えられているなと思える工夫が随所に見られる、素晴らしいホテルだ。
コスパが良すぎでありがたい。このホテルの良さを広めることで、さらに日本中にドーミーインが出来たらうれしいので、別記事で改めて紹介したいと思う。
さて、だいたい夕食はホテルではなく地元のお店でいただくことが多い。
その方が、地元の味を食べられるのではないかと思うからだ。
今回は海鮮居酒屋のようなお店。ゲソ美味しい...。
地元の味とか何とかいっておきながらアレなんだが、このカマンベールの網焼きも美味しすぎた。
でもこれなら、家でも簡単に作れる。
カマンベールチーズを切って、串にさし、網で焼いたあと、はちみつを薄めたようなシロップをつけて頂くのだ。
チーズとシロップ、半端ない美味しさ!
締めは卵かけご飯。大好きな人が多いだろう。
だが、我が家で作る卵かけご飯とは、ちょっと違っていた。
刻み海苔と、カツオ節と、ネギ、その上に卵をかけていただくのだ。
だいたいどの具材も、我が家に常備してあるものばかり。
平日のお昼ごはんメニューに、ちょうど良いかもしれない。
タマ駅長に会いに
タマ駅長で有名になった和歌山電鐵の貴志駅へ行ってきた。
猫が駅長になったというニュースをテレビで見たのはいつ頃だろう?
猫は大好きなのだが、そんな私でも、たかが猫でこうも騒ぐかと内心思っていた。
なので、今回の旅行にタマ駅長に会いに行くプランが含まれていることを知った時、「え、たかが猫やけど?」と思ってしまった。
確かに可愛いよ、猫は。だけど、それを駅長にしたからって、テレビで紹介されるほどなのかなあと...。
だが行ってみて驚いた。もうテレビで紹介されてから何年も経とうというのに、ひっきりなしに観光客が来る。
みんなタマ駅長を覗き込んで目を細めて、笑顔になって帰っていくのだ。
そしてグッズの数もすごい。キーホルダー、ストラップ、ドロップ缶、クリアファイル、ノート、マスキングテープ、マグカップ、カレンダー。
もう人間のアイドル並みだな。
たかが猫、されど猫。
伊太祁曽神社
タマ駅長がいた貴志駅から5駅のところに、伊太祁曽駅(いたきそ駅)がある。
実は伊太祁曽駅にも、猫の駅長がいる。猫のヨンタマ駅長だ。
せっかくだからと、こちらのヨンタマ駅長にも会いに行ったついでに見つけたのが、伊太祁曽神社(いたきそ神社)だ。
最初はついでぐらいに思っていたのだが、これがやけに面白かった。
下の写真は、「霊石おさる石」。
なんでも、手で触れると「首から上の病に霊験あらたか」だそうだ。
「美人になあれ。」と念じながら触ってみたが、効果はあるだろうか。
続いて、くぐると厄除けになると言われている木の俣くぐり。
くぐらない理由がない。
同じスペースには、チェンソーカービングで彫刻された12体の干支も。
私の干支、ねずみ。可愛いな。
小さい鳥居をくぐると続いている、苔むした小道。
思っていた以上に奥が深い和歌山。まだまだ知らない場所がたくさんありそう。
今度は熊野古道ももっと歩いてみたいし、和歌山城も行ってみたいし。これは何度か来ないとな。